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メリーウィドウ

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メリーウィドウ Die lustige Witwe

「ヴァリアの歌」を歌うハンナ

フランツ・レハール作曲の傑作オペレッタです。世界各国でも上演されていることからも、人気の高さがうかがえます。
日本では「メリーウィドウ」という名前が有名ですが、オリジナルの題名は「Die lustige Witwe」です。日本語に訳すと「陽気な未亡人」という意味なのですが、このタイトルだったら日本では今のように有名にならなかったと思います。
なお、初演は1905年12月にウィーン(アン・ディア・ウィーン劇場)で行われました。

メリーウィドウ」の魅力

この作品の魅力は、お話の内容もさることながら、美しいメロディーの曲がふんだんに盛り込まれていることです。一般的にオペラやオペレッタの場合、同じような感じの曲が何回か出てくる傾向があります。
その点、「メリーウィドウ」は、同一の作曲家が作曲したとは思えないほど、バラエティに富んだメロディーの曲が多く、同じメロディーの使い回しはほとんどありません。つまり、変化に富んだ曲を楽しむことができるのです。これが、人気の高さにつながっているのでしょう。メロディーメーカーとしての天分に恵まれたレハールの実力が遺憾なく発揮されている作品です。

お話は財政破綻寸前のバルカンにある「ポンテヴェドロ侯国」(架空の国、ただし、当時、バルカン半島に実在した某国をモデルにしていることは明白です)のパリを舞台に繰り広げられる恋の物語です。
現在のフォルクスオーパー版は、3幕構成で、上演時間は休憩時間を含めて2時間30分。1幕後に20分間の休憩が入ります。

お話に入る前に プロローグ

フォルクスオーオーパーのプログラム

「オペレッタ本編」のお話に入る前に、物語の背景をご説明しましょう。ポンテヴェドロ国の騎兵士官ダニロ伯爵は、美しい少女ハンナに心を奪われていました。しかし、当時、ダニロは貴族、ハンナは貧しい平民。その身分に違いから、ダニロは父親からハンナとの交際をきつく禁じられていたのです。そのため、相思相愛の間ながら、結ばれることはありませんでした(いかにも、当時の話らしいですね)。
その後、ハンナはポンテヴェドロ侯国に住む大富豪グラヴァリの元へ嫁ぎます。一方、ダニロは駐フランス公使館付き書記官になり、パリへ。パリへやってきたダニロは、もっぱらキャバレー・マキシムに通い詰めて、退廃的な生活を送っています。

一方、ハンナの夫グラヴァリは、ご高齢であったのか、結婚後、莫大な財産を残して、亡くなってしまいます。当然、遺産を相続したのはハンナです。時同じくして、ハンナやダニロの母国ポンテヴェドロは財政破綻で、大変な状況に陥ってしまいます。

そんな時、国王の誕生記念パーティがポンテヴェドロ国パリ公使館で開かれますが、それに莫大な遺産を相続したハンナがパリで豪遊中。今日のパーティには、当然、ハンナも招待されているのです(なぜ、個人の遺産が、国家財政の再建と直接関係するかはよくわかりません)。

公使館のパーティには、ハンナの莫大な遺産を目当てにしたポンテヴェドロやフランスの男性が多数やってきます。このパーティで、ハンナの心を射止めるのは誰か、また、かつて相思相愛だったダニロとハンナの恋の行方は、そして公使の妻ヴェランシェンヌにも隠された秘密が‥気になりますね。ここから「オペレッタ本編」が始まります。

主な登場人物

  • ハンナ・グラヴァリ:ポンテヴェドロ国に住んでいた大富豪の未亡人(ソプラノ)
  • ヴェランシェンヌ:ツェータ男爵の妻。元マキシムの踊り子(ソプラノ)
  • ミルコ・ツェータ男爵:パリ駐在のポンテヴェドロ侯国公使(バリトン)
  • ダニロ・ダニロヴィッチ伯爵:ポンテヴェドロ国パリ公使館付書記官(退役騎兵中尉、テノール)
  • カミュ・ド・ロション:パリのプレイボーイ(テノール)
  • ニグッシュ:ポンテヴェドロ侯国パリ公使館付の官房書記官。実際には執事に近い感じです。元マキシムのボーイ長(俳優さん)

あらすじと見どころ、聴きどころ

メリーウィドウ」は、お話がシンプルなので、登場人物の相関関係を理解していれば、言葉がわからなくても十分楽しむことができます。また、現在のフォルクスオーパー版は、テンポの良い展開なので、オペレッタを初めて見る方にもお勧めの作品です。「こうもり」よりも曲の変化が多く、親しみやすいと思います。

1幕 パリにあるポンテヴェドロ国の公使公邸

軽快なテンポの序曲に続いて、幕が上がります。ポンテヴェドロ国王の誕生記念パーティがツェータ男爵の主催で、公使公邸で盛大に開催されています。
集まったお客さまの関心は、今日、このパーティに来る予定になっている大富豪の未亡人ハンナのこと。公使のツェータ男爵は、ハンナが所有している莫大な遺産が国外(フランス)に流出することを何とか防がなくてはなりません。そのため、ハンナと旧知の仲であるダニロに「ハンナと結婚せよ」という特命を与えたいのですが、肝心のダニロは公使館を抜けだし、マキシムに入り浸っています。

ツェータ男爵は、ハンナがパリの男になびいてしまうのではないかと心配で、若い妻ヴェランシェンヌのことは、パリの伊達男カミュ・ド・ロションに任せきりです。カミュ・ド・ロションは、ヴェランシェンヌの持っていた扇子に「あなたを愛す」と書いて、彼女に言い寄ってきます。ここで美しい二重唱「火遊びはやめて」が歌われます。

男たちがハンナのうわさ話をしているところに、颯爽とハンナが登場します。聴きどころは「ハンナ登場の歌」です。この歌の仕上がり具合で、当日のハンナ役の出来がわかりますから、ファンは注目している曲です。

遺産目当てにハンナに群がる男性たちを、女性陣が揶揄する場面など、なかなか面白いお芝居が続きます。皆さん、浮気心があるくせに、自分のパートナーの浮気が気になってしょうがない‥そんな心模様がお芝居で表現されます。

ハンナが男たちを引き連れて、公使館の奥へ引き上げると、入れ違いにマキシムから酔っぱらったダニロが戻ってきます。酔っぱらって足下もおぼつかない中で歌う「ダニロ登場の歌」が聴きどころです。もちろん、酔っぱらったお芝居にも注目しましょう。すぐにソファーに寝てしまうダニロ。そこへニグシュがやってきて、ユーモアたっぷりにダニロを介抱します。

ダニロがソファーで休んでいると、ヴェランシェンヌとロションが、「あなたを愛す」といたずら書きをした扇子を探すためにやってきます。ハンナ登場の騒動に紛れて、扇子をなくしてしまったのです。これが、夫のツェータ男爵に見つかったら大事です。しかし、扇子は見つかりません。

1幕のハンナとダニロ

ヴェランシェンヌとロションが立ち去ると、入れ替わりに男たちにまつわりつかれてお疲れのハンナがやってきて、ソファーに休んでいるダニロと鉢合わせ。昔の恋人同士、お互い自分の気持ちに素直になれない「意地の張り合い」が始まります。

ここで「お馬鹿な騎士さんが」という楽しい歌が披露されます(本来、この曲は2幕の中盤に入っていますが、現在のフォルクスオーパー版では、ここで歌われます)。

ハンナが立ち去ると、ツェータ男爵が「あなたを愛す」と書いた例の扇子を持ってやってきます。しかし、ヴェランシェンヌのものだとは気づいていない様子。そして、ダニロに自国の窮状を救うための特命を授けます。その特命とは「国を守るためにハンナと結婚せよ」というものです。しかし、昔のいきさつがあるため、ダニロは“男爵のご命令には何でも従いますが、これだけはご容赦ください‥その代わり、男をハンナに近づけないようにします”と宣言し、さっそく作戦を練り始めます。

ハンナが男たちを引き連れて、再び大広間に現れます。男たちは、ハンナの気を惹こうとダンスを申し込むのですが、遺産目当てが見え見えの男たちにうんざりするハンナ。そこへダニロはダンスの相手となる若い女性たちを連れてきて、男たちをハンナから引き離すことに成功します。
ヴェランシェンヌはロションをパートナーに推しますが、ハンナが最終的にダンスのパートナーに選んだのはダニロでした(この当たりも恋の駆け引きですね)。

1幕のフィナーレ

ハンナから指名されたダニロは“パートナーの権利を1万フランで買う男はいないかい?”と突然言い出します。唖然とするハンナ。さすがに遺産目当ての男たちも、ハンナと踊るのに1万フランを出すことには躊躇してしまいます。ただ、ロションだけは本当にお金を出そうとしますが、ヴェランシェンヌに止められてしまいます。
男たちが去り、“もう踊りたくない”と怒るハンナに、今度はダニロが強引に彼女の手を取り、ワルツの調べに乗せていきます。お互いの意地の張り合いですね。ワルツを踊り終えたところで、二人は別れ、幕となります。

2幕 パリにあるハンナの別邸の庭

2幕のハイライト「ヴァリアの歌」

2幕は「パリにあるハンナの別邸の庭」という設定が一般的ですが、「公使館の庭」という設定の場合もあります。ハンナは公使主催のパーティの返礼として、翌日、昨晩の参列者全員を招待し、故郷ポンテヴェドロ風のガーデンパーティを開きます。

2幕最初の聴きどころは、民族衣装に身を包んだハンナが歌う「ヴァリアの歌」でしょう。オペレッタでは、オペラと異なり、アリアを歌い終わった後、直ちにアンコールを行うケースがあります(リフレインと言います)。
「ヴァリアの歌」はリフレインの対象となる曲ですが、フォルクスオーパーでも歌手によって、やる場合とやらない場合があります。これだけは当日のお楽しみというところでしょう。「ヴァリアの歌」の前後には、民族衣装に身を包んだバレエ団の見事なバルカン風のダンスが披露されます。

バレエ団によるバルカン風のダンス

「ヴァリアの歌」が終わった頃、ダニロが軍服姿でやってきます。素直になれない二人は、ここでも意地の張り合い。お芝居が面白い場面です。参列者が三々五々、庭園を後に館の中に引き上げていきます。

ツェータ男爵は“カミュ・ド・ロションが、グラヴァリの遺産を狙う一番の危険人物だ。監視するように”とダニロに指示します。そこへニグシュが“男爵。ロションは大丈夫です。別の人妻に夢中ですから”と口を挟みます。ツェータ男爵は、自分の妻が「その人妻」であることは知るよしもなく、ダニロにロションが思いを寄せている人妻が誰かを「あなたを愛す」と書かれた例の扇子を使って探すように命じます。

その後、ダニロは庭園を歩いている人妻を見つけては“この扇子はあなたのものですか”とたずねて回るのですが、このお芝居も楽しいですね。とくにご年配のマダムが、ダニロが言い寄ってきたと勘違いし、その気になりダニロがたじたじになるという場面もあります。

庭園にパーティに参加している男性陣が戻ってきて、女性談義に花を咲かせます。ダニロも、その輪の中に入っていきます。そこへ、ツェータ男爵や他の男たちも加わり、2幕で最も楽しい6重唱「女、女、女のマーチ」(女性の扱いは難しい)が始まります。「メリーウィドウ」では「唇は語らずとも」(別名「メリーウィドウのワルツ」)というワルツが最も有名ですが、オペレッタの中では「女、女、女のマーチ」がモチーフになっています。

楽しい「女、女、女のマーチ」

当然、「女、女、女のマーチ」はリフレインの対象となっています。リフレインからはニグシュも加わり、7重唱となり、ラインダンスを披露しながら歌います。以前は、数回繰り返していたのですが、最近は、上演時間の関係からリフレインが1回になりました。そして、2回目に入りかけたところで女性陣が後ろに登場し、“あっ、ヤバイ、女性たちに聞かれてしまった”という気まずい雰囲気で終わるような演出になっています。
先ほどの「ヴァリアの歌」がしっくりと聞かせるアリアだったのに対して、「女、女、女のマーチ」はリフレインでは手拍子も入ることがあるアップテンポな曲です。

その後、ダニロだけが残っている庭にハンナが戻ってきて、ダニロと「唇は語らずとも」のワルツに乗って踊りはじめます。やっと、二人の心が通じ合ってきて、良い雰囲気になってきました。が、これでハッピーエンドに一直線‥とならないのがオペレッタの世界です。

本国から「ハンナの遺産を死守せよ」という電報がツェータ男爵に届きます。そこで男爵はダニロとニグシュに、今後の作戦を練るため20時に庭の四阿(あずまや)へ集まるように指示を出します。

皆が館の中へ引き上げ、誰もいなくなった庭にヴェランシェンヌとロションがやってきます。幸い、庭のテーブルで「例の扇子」を見つけます。ロションはヴェランシェンヌに言い寄りますが、彼女は「私は貞淑な人妻です」と、その場で書き加えた扇子を示してロションに抵抗します。
しかし、最後はロションの誘いに抗しきれず、二人で四阿へと消えていきます。この時にヴェランシェンヌとロションが歌う「バラのつぼみが」と「あそこに小さな四阿が」という二曲が聴きどころです。ヴェランシェンヌの心の変化が上手に表現されている名曲です。

この様子を見ていたのがニグシュです。さて、集合時間になったのでツェータ男爵とダニロが四阿の前にやってきます。四阿へ向かおうとするツェータ男爵にニグシュが“今、四阿は使用中です”と答えると、男爵は“誰が使っているのだ。男はロションだろう。では、相手の人妻は一体誰だろう”と気になる様子。“下品ですよ”と引き留めるダニロを振り切って、鍵穴から中の人妻を確認するツェータ男爵。が、そこにいたのは何と妻ヴェランシェンヌだったのです。ショックでオロオロするツェータ男爵。

この窮状を救ったのがニグシュです。ハンナに話をつけて、四阿の裏口を使ってヴェランシェンヌと密かに交代。ツェータ男爵が四阿の扉を叩くと、そこから出てきたのは、何とハンナとロション。驚くツェータ男爵とダニロ。参列者も集まってきて、皆さん大騒ぎ。
ハンナは混乱を収拾するため、パーティ参列者一同の前で“ロションが私の婚約者よ。私は彼と結婚するわ”と宣言してしまいます。先ほどまで、ハンナは自分を愛していると思っていたダニロはショックを受けて、「王子と王女の物語が」というアリアを歌い、昔と今の自分の気持ちをハンナに伝えます。そして「マキシムへ行こう」を歌い、マキシムへ出かけていくのでした。

実は、これはハンナがダニロの気持ちを確かめるための大芝居だったのです。ダニロの気持ちを確信したハンナはヴェランシェンヌや女性陣と「本当の愉悦の歌と合唱」を歌い上げて幕となります。

3幕 マキシム風に飾り付けられたハンナの別邸

現在のフォルクスオーパー版では、舞台転換中に「メリーウィドウ」のメドレーが演奏されて3幕に入っていきます。

3幕はマキシム風に飾り付けられたハンナの別邸です(現在のフォルクスオーパー版では、庭をそのままマキシム風にしたような感じになっています)。参列者が一杯方向けているところへ、マキシムのグリセッティン(日本流で言うところのホステスさんに踊り子さんの要素を加えたサービス嬢、意味は「浮気鼠」だそうです)たちが入場してきます。何とヴェランシェンヌもグリセッティンの服装で登場します。
実は、かつてヴェランシェンヌはマキシムのグリセッティンだったのです(しかし、ツェータ男爵は知らなかったので、この姿を見て固まってしまいます)。そして、このグリセッティンたちを集めたのが、かつてマキシムのボーイ長だったニグシュという訳です。

3幕では見事な踊りを披露するヴェランシェンヌ

まずは楽しい「グリセットの歌」がヴェランシェンヌと合唱団による重唱で披露され、キャバレー・マキシムの雰囲気が盛り上がってきます。続いて、バレエ団による華麗なカンカンへ。この時に使う曲が、何とジャック・オッフェンバックの「天国と地獄のギャロップ」。実はオペレッタの場合、オペラと異なり、他の作曲家の曲を入れることがあるのです。
現在のフォルクスオーパー版では、この時、ヴェランシェンヌがバレエ団に加わって、一緒にカンカンを披露します。そのため、ヴェランシェンヌ役には歌だけではなく、高度なダンス能力が求められます(できる人が限定されます)。当然、リフレインで手拍子も入り、盛り上がること。お客さまものテンションもうなぎ登りです。

カンカンを披露するバレエ団

カンカンが終わったところで、ダニロが登場します。マキシムに行ったものの、ハンナの差し金でグリセッティンが皆、こちらへ来てしまったため、ダニロも戻ってきたのです。馴染みのグリセッティンに囲まれて、満足げなダニロ。

ダニロはハンナを見つけて、“祖国に財産を残すためにロションと結婚してはならない”と告げます。一方、ハンナは、ダニロに四阿の中の女性が実は別人であり、自分はロションと結婚する気がないことを伝えます。しかし、ダニロは、ハンナの遺産目当ての結婚だと思われることに抵抗があり、愛を告白できません(この当たりは貴族のプライドが邪魔をしている訳ですね)。そのため、ハンナはうつむいてしまいます。さぁ、このやり取りの後、かの有名な「唇は語らずとも」のワルツが二重唱で披露されます。ハイテンションのカンカンとは打って変わって、しっとりと聴かせる場面です。


一方、ニグシュが四阿から扇子を探し出してきたため、妻の浮気を確信したツェータ男爵は、煮え切らないダニロに代わり、ハンナの財産を祖国に残すため、突如、ハンナに結婚を申し込みます。が、ここでハンナから意外な言葉が‥“夫の遺言により、再婚すると遺産は放棄することになっているのです”。これを聞いて引いてしまうツェータ男爵。一方、ダニロは、“ハンナ、再婚すると無一文になるのかい?”とたずねます。ハンナの“そうよ”という答を受けて、やっと“僕は君を愛している”と本音を打ち明けます。ハンナも“私もダニロを愛しているわ”と彼の愛を受けとめます。そこで、ネタ晴らし。“実は、続きがあるの。再婚すると私が所有する遺産はゼロになってしまうのだけれども、遺産は新しい夫が引き継ぐのよ”。落胆するもの、喜ぶもの、悲喜こもごもの人間模様が舞台では繰り広げられます。

バツが悪いのは“妻は浮気をしているから、離婚だ”と皆の前で言い切ってしまったツェータ男爵です。しかし、ここでヴェランシェンヌが助け船を出します。例の扇子をツェータ男爵に渡して、“あなた、中を読んでごらんなさい”と‥。ツェータ男爵が、恐る恐る扇子を開けて中を見ると、そこには“私は貞淑な人妻”という文字が。ツェータ男爵も妻のヴェランシェンヌに誤解をわびて、元の鞘に収まります。最後は、全員で「女、女、女のマーチ」を盛大に歌って幕となります。

こぼれ話 幻の「メリーウィドウ

実は、「メリーウィドウ」の作曲を最初に依頼されたのは、オペレッタ「オペラ舞踏会」の作曲家リヒャルト・ホイベルガーでした。台本作家のヴィクトル・レオンは、1898年に「オペラ舞踏会」でオペレッタ作曲家として成功を収めかちホイベルガーに新作オペレッタ「メリーウィドウ」の作曲を依頼しました。

「オペラ舞踏会」もパリを舞台としたオペレッタですが、「メリーウィドウ」の方は、バルカンの要素が強いため、グラーツ生まれのオーストリア人であるホイベルガーの筆が進まなかったようです。
実際、「オペラ舞踏会」を聴くと、曲の多くがメロディーラインのきれいなワルツになっているので、「お馬鹿な騎兵さん」のようなリズムを持った曲を創り出すのは難しかったと思います。

ホイベルガー自身、悩みながら作曲したものの、できあがった曲は自身でも納得できるものではありませんでした。当然、依頼主のレオンもホイベルガーに失望し、フランツ・レハールに白羽の矢が立ったのです。つまり、レハールは代役だった訳ですね。レハールはハンガリーの出身なので、バルカンの要素を取り入れることは得意だったようです。

依頼主のレオンが妥協せず、代わりの作曲家を捜した結果、名作「メリーウィドウ」が誕生した訳ですが、もし、このままホイベルガーの作曲で上演していたら、どうなっていたでしょうか。もしかしたら、今頃は上演されることもない「幻のオペレッタ」になっていたかもしれません。作曲家の交代が名作を生んだというのも皮肉なものです。

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